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音楽業界の広告における「コンバージョン」の意味と重要性

2023.12.25

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一般企業のマーケティング活動では当たり前のように浸透しているのに、音楽業界では浸透していない概念が「コンバージョン」です。音楽系のWeb広告において成果をあげるためには絶対に使いこなすべきものなのに、一部の会社を除いてあまり浸透していないのはなぜなのでしょうか。今回は、音楽業界の広告におけるコンバージョンの意味と重要性に関して解説します。

コンバージョンとは何か?


コンバージョン(CVと略されることが多い)は、英語で「転換」という意味です。プロモーション施策を通じて、得たいと考えている何かしらの「成果」を得ることをコンバージョンと言います。どんな「成果」をコンバージョンにするかは目的によって自由に定義することができます。例えば「グッズの購入」や「ファンクラブの会員登録」、「メールマガジンの登録」、「楽曲の視聴」、「YouTubeのチャンネル登録」、「Pre-save/Pre-add」といったリスナーの行動をコンバージョンとして定義することが可能です。もしあなたが関わっている広告施策の進捗報告やレポートに「コンバージョン」という表記があったら、「ここで言うコンバージョンの定義ってなんですか?」と確認することをおすすめします。

なお、最終的に得たい成果をそのままコンバージョンにすることもできますが、その手前のステップをコンバージョンにすることもできます。最終的に得たい成果として「グッズの購入」をコンバージョンにしている場合、その手前の段階である「特定の商品ページの閲覧」や「商品のカート追加」をコンバージョンとすることも可能です。コンバージョンは複数設定可能です。

広告表示からグッズ購入までの流れ


・例えばあなたがアーティストのオーディションを行っている場合は「オーディションの応募」をコンバージョンにすることができます。また、その手前の段階として「広告遷移先のオーディションページの75%以上を閲覧する」をコンバージョンにもできます。

広告表示からオーディションの応募までの流れ


・例えばあなたがレコーディングスタジオの宣伝を担当している場合、「レコーディングスタジオの予約」をコンバージョンにすることができますし、その手前の段階として「ユーザーの会員登録」をコンバージョンにすることも可能です。

広告表示からスタジオ予約までの流れ


広告施策においてコンバージョンを設定し、計測すべき理由は3つあります。
1つ目は、施策の成果を正しく評価するため。2つ目は、施策のPDCAを回すため。3つ目は広告のターゲティング最適化精度を上げるためです。それぞれ解説します。

コンバージョンを計測すべき理由1:施策の成果を正しく評価するため

あなたがプロモーションを担当しているアーティストのライブDVDが3週間後に発売される予定で、今から予約注文を獲得するための広告キャンペーンを予算40万円で実施したとします。予算の配分はTikTok広告で20万円、X(Twitter)広告で20万円。実施後、広告を経由して発生した購入数は300枚でした。

このとき、「購入」という最終成果をコンバージョンとして設定していれば、TikTok広告とX広告それぞれの貢献度を計測することができます。もしTikTok広告経由でコンバージョン250件(=250枚の購入)、X広告でコンバージョン50件(=50枚の購入)だった場合、次回実施する類似キャンペーンではX広告の予算をTikTok広告に回したほうが成果が出るかもしれない。そういった意思決定がデータに基づいてできます。

コンバージョンを計測すべき理由2:施策のPDCAを回すため


広告のクリック率/単価は凄く良かったのにYouTubeやApple Musicでは伸びが確認できず、最終的に成果があったのがどうかが良く分からなかったことはありませんか? クリックにも質の高低があります。質の低いクリックのことを当社では「死んでるクリック」と呼んでいます。死んでるクリックをいくら獲得しても成果には繋がりませんが、クリックの質を「最終的に得たい成果」以外で判断するにはどうすればよいでしょうか? 最終的に得たい成果とクリックとの間に「中間ゴール」を置き、施策の成否を判断することです。コンバージョンは中間ゴールとして機能します。

先ほどと同じ例ですが、あなたがプロモーションを担当しているアーティストのライブDVDが3週間後に発売される予定で、今から予約注文を獲得するための広告キャンペーンを予算40万円で開始したとします。キャンペーン開始後、広告のクリック率/単価は過去に実施してきた類似キャンペーンの水準を超えているのにも関わらず、予約注文が一向に獲得できていない状況だとします。
この際、中間ゴールとして「ユーザーが商品ページを50%以上縦スクロールする」とか、「商品をカートに追加する」といったコンバージョンイベントを設定してその数を計測していれば、予約注文が獲得できない原因を特定してテコ入れすることができます。

例えば、コンバージョン「商品ページの50%以上を縦スクロールする」がほとんど発生していなかったことが分かれば、そもそも商品ページをちゃんと読んでいないユーザーばかりだということを示唆していますので、例えば以下2つの仮説が立てられます。

1:獲得している広告クリックの質がそもそも低い可能性があります。つまり「商品の購入意向が低いユーザー」からクリックを獲得してしまっている可能性があるということです。なので、広告の画像や動画やテキストを差し替えてみて、コンバージョン「商品ページの50%以上を縦スクロールする」が増えるかどうかを検証するのが良いかもしれません。
2:商品ページのテキストや画像がごちゃごちゃしていて見にくかったから大半のユーザーが50%スクロールする前に離脱してしまったのかもしれません。だとすれば商品ページの構成や内容を見直す必要があります。

コンバージョン「商品をカートに追加する」が十分に獲得できていないのであれば、商品の魅力がユーザーに伝わっていない可能性を考慮して、商品ページの写真やテキストを再考するのが良いかもしれません。逆に、コンバージョン「商品をカートに追加する」が十分に発生しているのにも関わらず購入に繋がっていないのであれば、購入時の決済手段が充実していないことや、配送面で融通が効かないことがユーザーの購入を妨げているかもしれません。


このように、コンバージョンを中間ゴールとしながら広告キャンペーンを実施することによって成果が出ているかどうかが明確になり、正しい課題認識に基づいてより精度の高い打ち手を講じることができます。

コンバージョンを計測すべき理由3:機械学習のターゲティング最適化精度を上げるため

運用型広告には目的別にさまざまなキャンペーンの種類があります。例えば、以下はTikTok広告のキャンペーンの種類です。

引用:TikTok for Business(TikTok広告)より


TikTok広告の場合、

・「ブランド認知」目的のカテゴリーでは、広告のリーチ人数を最大化させることに重点を置いたキャンペーンがあります。
・「購買意向」カテゴリーでは、広告動画の視聴数を最大化させることに重点を置いたキャンペーンや、トラフィック(=広告のクリック数)を最大化させることに重点を置いたキャンペーンがあります。
・「コンバージョン」カテゴリーではコンバージョン数を最大化させることに重点を置いたキャンペーンがあります。

このように目的別で複数のキャンペーンが用意されています。細かいところは異なりますが、これはMeta広告(Instagram/Facebook)やGoogle広告、X(旧Twitter)広告においても同様です。

こうしたキャンペーンの種類を選択するうえで重要なのが、ターゲティングの「機械学習の最適化のかかり方」の違いです。

・広告動画の視聴数を最大化させることに重点を置いたキャンペーンでは、ターゲティングした人たちのなかで「普段から広告動画を長く視聴する傾向のある方」に優先的に広告が表示されるようになります。
・トラフィック(=広告のクリック数)を最大化させることに重点を置いたキャンペーンでは、ターゲティングした人たちのなかでも普段から広告をクリックしやすい方に優先的に広告が表示されるようになります。
・コンバージョン数を最大化させることに重点を置いたキャンペーンでは、ターゲティングした人たちのなかでもコンバージョンしやすい方に優先的に広告が表示されるようになります。最適化対象のコンバージョンを「グッズ購入」にした場合は普段からグッズを購入しやすい方に、「チャンネル登録」にした場合は普段からチャンネル登録しやすい方に広告が優先表示されます。

上記が「ターゲティングの最適化のかかり方の違い」です。
ここで「ターゲティング」と「機械学習のかかり方」って何が違うの? と思った方もいるかもしれません。これは例で説明します。

例えば、あなたがプロモーションを担当しているアーティストの新曲がリリースされたので、各種DSP(Digital Service Provider。SpotifyやApple Musicといった音楽配信事業者のこと)での再生数を増やすことを目的としたInstagramストーリーズ/リール広告を開始するとします。ターゲティングとしては日本国内在住の34歳までの男女で、フジロックやサマーソニックなどの音楽フェスに興味のあるリスナー(以降、「フェス関心層」とします)を対象にする予定です。この場合、

・広告動画の視聴数を最大化させることに重点を置いたキャンペーンでは、日本国内在住の34歳までフェス関心層の男女のなかから、広告動画を視聴しやすい方々に広告が優先表示されていきます。
・トラフィック(=広告のクリック数)を最大化させることに重点を置いたキャンペーンでは、日本国内在住の34歳までフェス関心層の男女のなかから、広告をクリックしやすい方々に広告が優先表示されていきます。
・コンバージョン数を最大化させることに重点を置いたキャンペーンでは、日本国内在住の34歳までフェス関心層の男女のなかから、コンバージョンしやすい方々に広告が優先表示されていきます。コンバージョンの定義は「楽曲の視聴」でも「楽曲のお気に入り登録」でも構いません。

つまり、ターゲティングした人たちのなかから、どういう行動をしやすい人たちに絞り込んで広告を優先表示していくかを決めるのが「機械学習の最適化」です。つまりターゲティングは「広告配信対象者のパイの種類や大きさを決めること」で、最適化は「パイのなかから広告を優先表示する対象を絞り込んでいくこと」です。成果をあげるにあたってはどちらも重要です。

では、それを踏まえどのような最適化メニューを選べば良いでしょうか? 先ほどの例に戻ってみます。
DSPでの再生数最大化を目的にしたInstagram広告で、ターゲティングは日本国内在住の34歳までのフェス関心層(男女)とした場合、DSP再生数最大化にあたり最も有効なのは、最適化のかかる場所が「DSPでの再生」に近いメニューです。つまり、「DSPでの再生」をコンバージョンにしたコンバージョンキャンペーンが最適です。
※コンバージョン最適化で取れるコンバージョン数が天井に達してしまった際はトラフィック最適化を試してみる価値があるとか、例外はもちろんありますが、ブログの趣旨を踏まえてここでは割愛します。

普段トラフィックキャンペーン(広告のクリック数を最大化させることに重点を置いたメニュー)を使っている方に伝えたいことは、「広告をクリックしやすい人」は必ずしも「広告クリック後に曲を聴いてくれる人」ではないということです。いわゆるヘビークリッカーと呼ばれるような、「広告をクリックするだけでそのあとに何も行動してくれない人たち」は国内にも海外にも想像以上にたくさんいます。クリックしやすい方々に最適化して成果があがることもありますが、コンバージョン最適化よりも成果をあげ続けることは困難です。

つまり、本気でWeb広告で成果をあげたいのであればコンバージョン最適化キャンペーンを使いこなすことは必須事項になります。

音楽業界でコンバージョンが普及していない背景と対策

ここまで解説してきたように、コンバージョンはデジタルマーケティングにおいて絶対にマスターすべき考え方であり、技術です。他業界の広告でコンバージョン最適化キャンペーンが使われていないことはほぼないと言って良いかと思います。では、音楽業界における広告で、一部の会社を除いてコンバージョン最適化キャンペーンが普及していないのはなぜでしょうか?

それは、広告遷移先になることが多いプラットフォーム計測タグが埋め込めないからです。
コンバージョンを計測するには広告の遷移先ページに計測タグを埋め込む必要があります。例えば広告遷移先がアーティストの公式サイトであれば自分たちでサイトを管理しているので簡単に埋め込むことができます。しかし、YouTubeやApple Musicには計測タグは埋め込めません。eplusのようなプレイガイドにも埋め込めませんし、タワレコオンラインやHMV&BOOKS onlineといったストアも埋め込めないものが多いです(Shopifyなど埋め込めるサービスも一部あります)。そもそもコンバージョンの測定に必要な計測タグが埋め込める場所が限られているのです。

なので、発想を転換する必要があります。
最終的に成果を得たい場所に直接飛ばすのではなく、計測タグを埋め込めるページに飛ばして、そのページから最終遷移先に誘導するのです。例えばLinkfireやFeature.fm、Tonedenといったスマートリンク、もしくはレーベルのキャンペーンページやアーティストの公式サイトには計測タグが埋め込めます。自社でECサイトを所有している企業の場合、そのECサイトにも埋め込めます。

2023年現在、音楽業界の広告施策においては、YouTubeのMVやApple Musicの楽曲ページ、プレイガイドの券売ページに直飛ばししているケースがかなり多い印象です。楽曲を聴いてもらいたいと思っている場所に直接誘導するのが一番効率が良いと思うのは自然なことです。中間ページが入ればそのページで離脱してしまう人も一定数いますから、それが嫌だと思う気持ちも分かります。

でも、計測タグが埋め込めない場所でコンバージョンは設定できませんし、計測して活用することもできません。施策の評価も正しくできなければ、PDCAを回すこともできず、最も成果をあげられる最適化メニューも使えません。音楽業界の広告のDXも進みません。

大事なのは選択肢を持ち、状況に応じて使い分けることです。中間ページを介した方が良いケース、直飛ばしした方が良いケース、どちらもあります。当社がサポートさせていただいている広告キャンペーンでも、クライアントのご要望に応じて直飛ばしにすることはあります。どちらか一方に偏るのではなく、双方のメリット/デメリットを理解したうえで使いこなせるようになるのがベストです。

すでにコンバージョンを使いこなしている会社の方からすれば当たり前過ぎて退屈な内容だったかもしれませんが、これからもコンバージョンを使いこなす重要性を訴えていきたいと考えています。

▼関連記事:コンバージョンAPIを実装しました
https://gerbera-music.agency/blog/conversionsapi/

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Image by Gerd Altmann from Pixabay

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