Detail
プレイリストメディア「Pluto」が主催するライブイベント『Pluto Sparkle』の初公演が、2022年8月27日に開催された。
今回ライブを披露してくれたのは、寺尾紗穂さんとbutajiさんの2組。
デビュー15周年を迎えて新作アルバム『余白のメロディ』を発表したばかり、エッセイストとして多くの著作も執筆するなど精力的な活動を続けてきた寺尾紗穂さん。
2013年頃から少しずつ活動をスタートし、2021年に発表した『RIGHT TIME』でブレイクを果たすなど、まもなく活動が10年目に入る直前というbutajiさん。
ともにシンガーソングライターとして活動してきており、そのスタイルが故に何度となくライブを共にし、一夜限りのコラボレーションを重ねてきた間柄でもある。
昨夜の寺尾紗穂さんとの中央線です、ちょっとアップしてくれてる。 https://t.co/nvHDSuB8ak
— butaji (@butaji_tw) July 12, 2020
「Pluto」ではそんなお2人に、Podcastを通じて対談インタビューを試み、お互いの印象からその感性についてまで深く迫った。
⚡️#Spotify ポッドキャスト公開中⚡️
8/27開催イベント『Pluto Sparkle』🪐
出演の寺尾紗穂さんとbutajiさんに
刺激を受けた楽曲を語って頂きました🌠「生身の人間はわりきれないものが多く、どれだけ多様で説明しにくいか。その曖昧さや可能性を考えるのが大事だと思う」https://t.co/15bWheJ523 pic.twitter.com/gFahzNQ3Sw
— Pluto #playlist (@Pluto_playlist) August 24, 2022
この日、お2人の共演場所に選ばれたのは、東京池袋にある自由学園明日館(じゆうがくえん・みょうにちかん)の講堂。1921年4月に創立して以来、ちょうど100年目を迎えた当施設は、国の重要文化財に指定されている建築施設だ。
この日は夏の終わりということもあってか暑さがぶり返し、会場に着くまでに汗がどっと出てくるような天候。
13時を回ると日差しが弱くなったせいもあり、冷房の効いた館内に暖かい陽光が差し込んで穏やかなムードへと変わっていった。ワックスとニスが丁寧に塗られた床や手すりの質感と空気感は、アコースティックな2人の音楽性にもピッタリ。小会場・木造建築ならではの独特な音の広がりは、このライブの大事な部分となっていた。
1番手に登場したのはbutajiさん。
butajiさんの低めの音域に広がる生声は、太めの声とファルセット行き来しながら感傷と愛情を伝えていく。
アルペジオとストロークとを曲ごとに変えながら、楽曲の輪郭と表情をさまざまに象っていく。弦へのタッチ・歌声の声量をうまくコントロールし、まろやかさとトゲトゲしさとが交じり合った彼の世界観に、観客もどんどんと引き込まれていった。
原曲ではバックトラックがある「acception」、足元のエフェクターをカチっとふみながら披露した「you never know」と、本イベントが「アコースティックセット」ということもあり、本来の楽曲とは違った角度で披露されているのがミソにもなる。
弾き語りスタイルの真骨頂ともいえようこれらの魅力は、終盤に披露された「RIGHT TIME」「calling」「東京タワーとスカイツリー」にしっかりと詰まっていた。
「最近夜は涼しくて過ごしやすいなかでしたけど、今日は昼間のなかアツいなかでも集まってくれてありがとうございました」
続いて登場したのは寺尾紗穂さん。
『余白のメロディ』を発表したばかりということもあり、収録曲が多く演奏されるかと思いきや、「僕の片割れ」「歌の生まれる場所」の2曲に留め、自身のディスコグラフィから「これ」という曲をチョイスしていた。
グランドピアノに座り、彼女がメロディに声を乗せる。もちろんマイクで集音し、ステージ横のアンプから音を出してはいるものの、ステージの近さも相まって生音・生声が観客席へと届けられる。クールかつツルっとした寺尾さんの歌声は、圧倒的な清らかさで観客を一気に持っていくパワーを持ち、グッとこちらの心を捉える。。
日常風景や生活描写を柔らかく記しつつ、マイノリティな人々などに眼を向けてタフに生きる姿をも記す。そんな視座が捉えているのは、「生きる」ことの気高さや強かさであろう。
タタタタっと駆け抜けていくようなピアノの音とともに、ファルセットひとつとっても濁った成分が混じることはない。彼女が放つ「クリア」「清らかさ」は、強かに生きる生命力となってライブの場に現れたのだ。
NHK番組に起用された「魔法みたいに」、土木工事従事者にスポットを当てた「アジアの汗」、片手を失った愛する人に向けた「私の好きな人」と続き、「最近できたばかり」という新曲「ゴールはどこだい」、ラストに「歌の生まれる場所」へと繋がっていった流れは、まさに強く生きる生命力に引き込まれるかのような時間であった。
寺尾さんのパフォーマンスが終われば、butajiさんと2人での共演となった。先行して公開されていたPodcast『Podcast Connercing 特別編~Pluto Sparkle vol.1 寺尾沙穂×butaji~』内でも、『お互いに影響を受けた』と話していた「中央線」や「楕円の歌」を特別にコラボ演奏で披露した。
「たぶん4回目だよね?」という2人のデュエットであるが、音数の少ないピアノ・アコギのタッチ、低めな声色のbutajiさんとクリアな高音が響く寺尾さん、そのコーラスワークとハーモニーはバッチリ。
声・ギター・ピアノの響きがじんわりと滲み、溶け合っていくような空気は、物音ひとつすら立ててはいけないのでは?と言える静謐さを漂わせていた。終演してもなお「次があるのでは?」となかなか席から離れられず物音を立てられなかったあの瞬間は、その証拠であったとも言える。
初開催となった『Pluto Sparkle』にとって、これ以上のない会場と出演者による、極上のライブとなったのは言うまでもない。今後のライブでは、どのようなアーティストが出演するのか、非常に見ものになるところだ。
セットリスト
butaji
- ラブソング
- acception
- you never know
- 友人へ
- トーチ
- light
- RIGHT TIME
- calling
- 東京タワーとスカイツリー
寺尾紗穂
- 僕の片割れ
- 新秋名果
- 雲は夏
- 魔法みたいに
- アジアの汗
- 私の好きな人
- ゴールはどこだい(新曲)
- 歌の生まれる場所
寺尾紗穂 × butaji コラボ演奏
- 抱きしめて(butaji)
- 中央線(butaji)
- 楕円の夢(寺尾紗穂)
『Pluto Sparkle vol.1 寺尾紗穂 × butaji』
2022年8月27日(土)https://pluto-sparkle.gerbera-music.agency/
・出演:寺尾紗穂、butaji
・会場:自由学園明日館 講堂
・企画/ディレクション:石松豊(orange plus music)
・PA:大場傑、古閑幸紀
・撮影:塙薫子
・イベントレポート執筆:草野虹
・ポッドキャスト取材:Ai
・運営スタッフ:岡本美柚、小泉里菜、久岡桂子、森山春萌
・フライヤーデザイン:坂口ナオ
Special Thanks
・出演者マネージャー、物販担当者
・会場担当:古川太一、藤田丸結
・All of Gerbera Music Agency and Pluto members!
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