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文脈特化型プレイリストレーベル『Pluto』を立ち上げました

2018.08.13

Detail

Gerbera Music Agency株式会社は、文脈特化型のプレイリストレーベル『Pluto』を立ち上げました。

Plutoは「天気」「場所」「時間帯」「感情」など、特定の文脈をベースにしたプレイリストを制作し、Spotify上で発信する“プレイリストレーベル”です。

「その日の天気に合った音楽」
「旅先で聴きたい音楽」
「友達とキャンプを楽しんでいる時に聴きたい音楽」
など、音楽リスナー個々の文脈にフィットしたプレイリストを発信し、 生活に寄り添う音楽を提供していきます。

決して急速ではないものの、SpotifyやApple Musicをはじめとしたサブスクリプションサービスの普及が進んでいる国内音楽シーン。そうしたサービスのなかで「新しい音楽との出会い」を生み出すと期待されているのがプレイリストです。

Spotifyが発表した資料によると、プレイリスト文化の普及が始まった2014年以降、リスナーが週あたりに触れるアーティスト数の平均は年々増加してします。
(※Spotify Insights『Listening Diversity Increases Nearly 40 Percent on Spotify』より)


プレイリストを通じて新しい音楽が発見されればされるほど、より多くのアーティストがフックアップされる環境が生まれるはずです。

Plutoは人々の生活に寄り添うプレイリストの制作を通じて、音楽リスナーに「新しい音楽を発見する楽しみ」を、アーティストに自身の楽曲を広める機会を提供していきたいと考えています。
これから少しずつプレイリストを発信していきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

■2019年1月追記

企業・ブランド向けのプレイリスト制作代行サービスも始めました。

■2019年7月追記
プレイリスト制作の実績を公開しました。

具体的にどんなプレイリストをつくるのか?

今回は、Plutoで作成したプレイリストの1つ『高円寺純情放浪BGM』の解説を通じて、実際にどういった文脈を想定してプレイリストをつくっているのかを紹介させていただきます。

以下はプレイリストの作成を担当したセレクター、峯大貴(@mine_cism)の解説文です。実際に高円寺の街を歩きながら聴くことを想定してつくられたプレイリストなので、読んでみて興味を持った方はぜひ聴いてみてください。

収録楽曲の解説

1.「高円寺」吉田拓郎
 1970年代初頭までそれほど知名度の高くなかった高円寺に一躍スポットが当たった最初のきっかけは1972年の吉田拓郎(当時はよしだたくろう)最大のヒットアルバム『元気です。』にこの曲が収録されていたことだ。実際に広島から上京して新高円寺方面の堀ノ内にアパートを借りて住んでいた時期。“君は何処に住んでいたのですか 高円寺じゃないよね?”と女の子に問いかける、女ったらしの拓郎。2分にも満たない1つのリフだけで終わってしまうささやかな楽曲ながら強烈な印象を残して、以降上京する若者の仮住まいの定番となった。まずは高円寺を象徴するこの曲から旅を始めましょう。

2.「中央線」THE BOOM
 「中央線」が出てくる曲といえば、“ああ中央線よ空を飛んで あの子の胸に突き刺され”と日本音楽史に残る名歌詞、友部正人「一本道」とこの曲が両翼ではないでしょうか。矢野顕子、小田和正、上條恒彦を始め数々のミュージシャンにカバーされたTHE BOOMの代表曲。絶妙に余白を持たして想像が広がる歌詞表現と若きMIYAの真っ直ぐな歌唱は、東京に一本直線を引くように通る中央線がふわっと宙を浮いて空に向けて走り出す様を思わせる。まるで銀河鉄道の夜のようなSF的な部分と現実の境目を行くような不思議な感覚が心地いい。本プレイリストの舞台は高円寺から始まりません。吉祥寺辺りから中央線の各駅電車に乗るところから始まっていくのです。

3.「東京west」eastern youth
吉祥寺から2駅行くと荻窪駅に到着。荻窪で思い出す音楽といえば北海道からの上京以来ずっと天沼に住む吉野寿率いるeastern youthでしょう。「天沼夕景」、「ドッコイ生キテル街ノ中」を始め荻窪の街を舞台にしている楽曲も数多い。ここでは吉野が急性心筋梗塞で倒れ、そこから復帰した作品2011年『心ノ底ニ灯火トモセ』から。中央線の高架下で生きていることを感じながらしっかり地面を踏みしめ歩く吉野の力強い姿が浮かぶ。また直近では今年2月に吉野寿と向井秀徳2人が高円寺駅の高架下でゲリラ路上ライヴを行いSNS上で話題となったことも記憶に新しいです。出会いたかった!

4.「灯がともる頃には」阿佐ヶ谷ロマンティクス
 荻窪から進んで、高円寺まであと一駅の阿佐ヶ谷へ到着。早稲田大学中南米研究会出身、今年念願のフジロック「ROOKIE A GO-GO」にも出演を果たしたこの若き5人組の音が聴こえてきます。目下最新アルバムの表題曲。レゲエ、ロックステディなども抱擁したリズムにJ-POP的なメロディと有坂朋恵による飾りっ気のない澄んだ声が架け合わさる。色んなジャンルの要素がグラデーションになって眼前に景色が広がっていく心地はあと1駅の中央線の旅にも、またここで降りて阿佐ヶ谷パールセンターをプラプラしながら高円寺へ向かう時にも心地よくマッチするのではないでしょうか。

5.「One Line」東京中央線
 中央線での旅の最後は、“中央線”をバンド名に持つ彼らで締めましょう。日本を飛び出し台湾・香港でも数多くライヴを行っているインスト・トリオ・バンド。オリエンタルなビートとギターサウンドで温かく牧歌的な休日サウンドが何とも心地よくなんともビール飲みたくなっちゃいますね。さて高円寺駅に到着です。

7.「Hey Pocky A-Way」The Meters
 これはもうニューオーリンズ・ファンク・スタンダードですね。私が高円寺に住み始めたのは2014年からですが、徐々に街にも慣れ出して色んな居酒屋やバーに行くようになりました。20代中ごろの私はほぼどこに行っても最年少。多くの先輩たちからこの街の大人(気ない)な暮らし方、飲み方を学びました。また高円寺JIROKICHIを始め、楽や、ペンギンハウスといった高円寺の中でも歴史あるライヴハウスのセッション・イベントからも遊び方を始め、多くのことを学びました。そんなお酒の場でよくかかっていたり、セッションで演奏されていて印象に残っている曲です。南口のバー、SWAMPは店主がニューオーリンズに長らく住んでいてJohnny Adamsのバンドにも在籍していたというギタリスト。この曲かけて口ずさみながら自分にマイヤーズのソーダ割りを入れてくれるんですね。完全なる私的思い出選曲です。

8.「ハイスクールララバイ」ロマンポルシェ。
 2010年『盗んだバイクで天城越え』収録でバニラビーンズを迎えたイモ欽トリオのカバー曲。掟ポルシェは月に1度イベントスペース高円寺Pundit’で「スナック掟ポルシェ」を開催しており、自ら手料理を振る舞っている。Pundit’が位置する北中通りは、リサイクルショップ“素人の乱”5号店や、不定期開催されている洋服屋なのにずっと色んな人が飲んでいるショップ“デアデビ”、そして海外からも注目を集める異色ファッション複合施設(アジト)“キタコレビル”など、高円寺随一の濃さを見せつけている通り。ニューウェイヴ・アレンジが成され、バニビの変に色気あるコーラスと相まって絶妙な心地悪さが段々心地よくなってくるバカ騒ぎのトリップ感はこの辺りの景色とマッチしてクラクラしてしまいます。

9.「たしかに愛を」見汐麻衣
 2000年代初頭から埋火、アニス&ラカンカ、MANNERSと形態を変え、活動場所も福岡、大阪、東京と拠点も変えながら、活動を続けてきた女流ミュージシャン見汐麻衣。昨年リリースされた初となるソロ名義でのアルバム『うそつきミシオ』からの1曲。改めて歌うことについて捉えなおし、自分の原点である歌謡曲やニューミュージックに取り組んだ今までになくポップな作品です。その背景にはピアニスト、シンガーソングライターの野田薫と高円寺・円盤で行っている平岡精二の楽曲を中心に演奏する隔月の企画〈うたう見汐麻衣〉の経験が活かされたとのこと。円盤は高円寺南口から高架沿いを阿佐ヶ谷方面に行ったところに位置しているCD・レコード・グッズ・本などを扱う特殊スペース。店主・田口史人が選定した全国でもここでしか販売のない自主制作盤や、「レコードと暮らし」、「二〇一二」など数多くの著作も販売されている、高円寺を象徴するお店です。時流に阿ることは決してなく、タバコをくゆらせ、艶っぽくもあけすけな見汐麻衣の歌。キャッチーだけどシティポップというほどの澄み切った洗練とも違う、人間くささが高円寺の街にもぴったりなんです。

10.「ミッドナイト清純異性交遊」大森靖子
 無力無善寺のレギュラー出演からキャリアを開始し、上記見汐麻衣の項にも登場した円盤で「月例実験室」を開催したり、ロマンポルシェ。の項で記載の“デアデビ”で絵画展を行ったり、2012年の1stアルバム『魔法が使えないなら死にたい』にはずばり「高円寺」という曲があったり、大森靖子と高円寺は密接に関わってきた。ここではそんな出発点である弾き語りで過去の曲をリメイクし、ライヴの切迫した質感を閉じ込めた2017年作『MUTEKI』から道重さゆみへの愛を爆発させた本曲をチョイス。

11.「碧の空」ナカムラ@モアリズム
 井浦新、成田凌主演の映画「ニワトリ☆スター」の主題歌。モアリズムは国立市出身の3人組リズム・ブルースバンド。00年代以降、高円寺JIROKICHIでも主要出演者の一組であり、「蛇いちご」「ゆれる」「ディア・ドクター」「夢売るふたり」など映画音楽・主題歌も多数手掛けています。現在はソロでの活動が主であり、この曲もフロントマンであるナカムラのソロ名義。この曲もブルースハープが心地良い、シンプルなラグタイム・ブルース・ナンバーですが、フーテンに空見上げながら街を歩いているような男臭さが何とも粋で、ついついぼーっと物思いにふけってしまいます。

12.「高円寺」竹原ピストル
 渋く男臭い曲が続きます。竹原ピストル、再メジャーデビュー後初のオリジナルアルバム2015年作『youth』から。自分が見た景色を軽妙に描写し、トーキングブルース調にまくし立てていく彼の十八番的スタイル。しかしここに「高円寺」という言葉はもちろん、記号的に高円寺を感じる箇所すらありません(登場するキャバクラ、サウナ、焼き鳥屋も実に普遍的な描写です)。しかし“今日のことなのに まるで昨日のことのように覚えているよ”という一節が、酔っていたのか、今日が充実していたのか、すっとほとぼりが冷めて自分を客観視したから…と余白をたっぷり含みながら、ちょっとロマンチックで自問自答がとめどなく溢れてくるところにぐっとくるのです。

13.「スウィート・サイエンス」藤岡みなみ
 今や「おささらナイト」(STVラジオ)パーソナリティーにより、北海道のイメージも強い藤岡みなみだが、自身のバンド藤岡みなみ&ザ・モローンズは高円寺発を標榜し、高円寺のWEBマガジン「Concent」で長期連載(「藤岡みなみの高円寺で世界一周」2013~2015年)していたなど、高円寺タレントであったことを忘れてはいけません。昨年結婚発表した頃から音楽活動は停滞し、モローンズもこのままは自然消滅か…と思いきや、年末にノベルティソングかと見まがうほど高円寺色の強いラプソディー「純情ブルース」を公開。断続的な露出にファンをやきもきされていたが、先日第1子出産の発表と共にリリースされたのが初のソロ名義となる本曲なのです。モローンズではない!という驚きと心配もあるが、プロデュースにKai Takahashi(Lucky Tapes)を迎えた信頼と実績の仕上がり。cero「Orphans」に通じるキャッチーなメロディと微熱状態のグルーヴが心地よいアーヴァン・メロウ・チューン。しかし藤岡自身の甘ったるくもどこか気だるい声が醸し出す緩さには、高円寺のおしゃれすぎない空気が残り香のように感じ取れます。

14.「ゆらゆら」菅田将暉
 今年1月に放送された「火曜サプライズ」(日本テレビ)にゲストとして菅田将暉と山崎賢人が登場、そのロケの舞台が高円寺でした。訪れたのは高円寺南口にある勝浦式担担麺の「じもん」。これまでも人気店でしたが、放送後数か月は若いカップルを中心にいつ前を通っても長蛇の列が並ぶほどになっていました。ちょうど古着店の密集地に位置していることもあり高円寺デートコースのド定番として格好の場所となっているようです。そんな彼の曲の中から挙げるならば、ギターをけだるそうにストロークしながら、夢を追い求めながらもうだつの上がらない日々にもやもや・ゆらゆらしている様が描かれるこの曲でしょう。
深夜12時過ぎでたらめな酒場で飲んだ帰り。南口から真っ直ぐ318号線を歩く。歩道の両脇に寝そべる泥酔サラリーマン、怒号が飛び交う駅前からスーッと歩いて行ったら大通りなのに街灯以外の灯りがどんどん少なくなる。この街に、社会に、自分が見放された気分に苛まれながら真っ直ぐ進む。
“焼き鳥屋のおばさん に言われた言葉 なんか悔しいけどありがとう ゆらゆらゆら”
先の方に青梅街道が見えてきた。そしたら右手に現れるのが24時間営業の屋台ラーメン屋“タロー軒”。深夜稼働のタクシー運転手のおっちゃんら数人に入り混じって立ち食いで優しい味の醤油ラーメンと甘めの半カレーのセット820円をかき込む背徳感。
“しょっぱいもの食べて あまいものを食べて しょっぱいものを食べる ゆらゆらゆら”
そんなシチュエーションでイヤホンからこの曲を流すのが正しい聴き方のように思います。

15.「KOI」仙波清彦
 邦楽囃子方仙波流に生まれ、THE SQUAREからキャリアスタート。はにわオールスターズ、カルガモ―ズという自身のバンドを始めスタジオミュージシャンとしても数々の名演を残している日本を代表するパーカッショニスト、仙波師匠です。高円寺在住で自分も幾度となく街中、飲み屋でお見かけし、そしてJIROKICHIで演奏を堪能しております。ここ数年は総勢23名の打楽器を中心とした仙波清彦&カルガモーズとして大みそかのカウントダウンライヴをJIROKICHIで行っており、パーカッショニスト集結による、人力トランス・ミュージックを味わうことが出来ます。インドの歌手ギータ・ディシュパンデーをフィーチャーした1996年作『JASMINE TALK』からの選曲、アジアン風情を含んだトランス・アンビエント・ミュージックですがそれでも仙波師匠のパーカッションの音には常にユーモアが含まれています。

16.「恋しい日々」カネコアヤノ
 今年リリースされたアルバム『祝祭』が国内ベストアルバムとの呼び声高く、今やライヴチケットも争奪戦となってきている女流シンガー・ソング・ライター。真夏に自転車をこぎながら、やることたくさんの休日を最大限に過ごしてやろうという楽しい目論見、ロマンチックだけど生活感がにじむ歌詞が高円寺の街にもマッチします。高円寺北口、純情商店街の先の庚申通りを進んだところに位置する古書サンカクヤマ。行けば確実にハートを打つような本との出会いがある妙に心地いい、個人商店の小さな古本屋さんです。ここでは奥の僅かなスペースで本を縫うようにカネコアヤノのCDが扱われています。限定生産商品が多い彼女のディスコグラフィーですが、ここに行けばまだ売っていたという経験、何度もしました。また南口の長仙寺と西友の間にある古着屋さん郊外SUBURBIAでも取扱いがあり、そんな高円寺の個人商店と密接な繋がりも今の彼女を形成した要因の一つのような気がします。

17.「Getaway」アース・ウィンド・アンド・ファイアー
 1976年のアルバム『魂』からのヒット曲。高円寺とどんな繋がりが?をお思いでしょう。 EW&Fのコピーバンドとして90年代に「イカ天」にも出演し話題となったアース・ウィンド&ファイターズというスーパーアマチュアバンドがおります。関西学院大学出身メンバーを中心に結成し、その調子のよい関西ノリと高い演奏力と本家に追いついて追い越してしまうくらいに高いコピー能力を持ったバンドですが、当時から25年以上経ち、プロのミュージシャンとなったメンバーも多い中、今も断続的に高円寺JIROKICHIに出演しております。100人も入ったら本当にぱんぱんで、フロアに対して完全にフラットなジロキチのステージ。一体感は生まれやすいが、客をスウィングさせるには一筋縄ではいかないこの会場で熱気溢れ、酒量も溢れること必至のライヴも高円寺ならではの光景です。是非とも見に行っていただきたいですが、ここでは本家本元のモーリス・ホワイトを味わいましょう。

18.「ハッピーソング」真島昌利
 91年リリース、マーシーソロ2作目『HAPPY SONGS』の最後に収録された表題曲。 “昼間っからヨッパらって あいつがやって来る 世間体なんてまるで 気にしちゃいない”という冒頭歌詞に表れている肩の力が抜けたヒッピーな質感。いい意味で放任主義、トレンドなんてこの街にはなくただそれぞれの強烈な個性が渦巻いている、飲み屋でも仕事の愚痴を聞くことはあまりなくただ共通の趣味と酒のある時間を共有する寂しがり屋たちのネバーランド。高円寺の街に忠実かつロマンチックに当てはまる歌詞だと思います。ここでは2007年に再発された『RAW LIFE』の特典盤に収録された93年の渋谷公会堂ライヴでのアコースティック・バージョンを選んでいます。Pal商店街のアーケードでずっとかかっててほしい1曲。

19.「安里屋ユンタ」上間綾乃
 お隣の街、中野では毎年チャンプルーフェスタが行われているなど、沖縄文化と密接に結び付いた街なのですが、高円寺も多いんです沖縄料理屋・居酒屋さん。特に中通り商店街には30年以上続く、「抱瓶」一派がどしっと陣を構えております。駅前すぐのビル群星館には「きよ香」、「ごっぱち」、「うりずん食堂」と沖縄酒場が並び、3階には三線や空手教室を開いているカルチャー教室から、ライヴハウスClub Rootsまで擁しているのです。ということで沖縄民謡の中から圧倒的な知名度を誇る楽曲「安里屋ユンタ」を入れておきましょう。沖縄出身ミュージシャンだけではなく、細野晴臣、坂本龍一、ソウル・フラワー・モノノケ・サミットや最近では折坂悠太までレパートリーとしているスタンダード。ここではそんな沖縄ポップスの新世代・上間綾乃による歌唱で入れております。

20.「本多工務店のテーマ」渋さ知らズ
 そんな抱瓶ですが、高円寺の中では屈指の音楽スポットとして機能しており、お店の中でライヴが行われることもしばしばあります。沖縄出身ミュージシャンを始め、キセルもこの店を愛し、毎年抱瓶のステージに立っているのですが、驚きなのが渋さ知らズもオーケストラで1年に1回ライヴを行っていて年末の風物詩となっているのです。本当に居酒屋ですのでぎゅうぎゅうになりながらステージと客席の垣根もなくなる熱い演奏が見ることが出来るのです。

21.「お達者で(This Is It)」DRINKIN’ HOPPYS
 結成12年目を迎える12人の大編成、日本では希少なジャンプ・ブルース楽団。今年リリースされた5年ぶりの新作『I Ain’t Drunk, I’m Just Drinkin’』からトレニアーズの「This Is It」を「お達者で」と空耳カバーした1曲。歌唱は富山浩嗣(Vo,G)と、本作のプロデュースも務めた彼らとは切っても切れない師匠・吾妻光良とのデュエットで40代と60代による悲哀含めたおっさんユーモアが爆発しています。普段はそれぞれの活動のため、ライヴ回数も限られているというのも吾妻光良 & The Swinging Boppersと共通しているが、両者とも高円寺JIROKICHIを中心のそのステージを見ることが出来ます。このアルバムタイトルがいいじゃないですか、“酔っぱらってねえす、呑んでるだけっす”っていうだらしなくも愛らしい呑兵衛名文句、夕方にもなれば街中がいっつもほんのり酔っている高円寺っぽい。

22.「MIRROR BALLS」菊地成孔DCPRG
 2004年~2013年まで長らく住んでいた歌舞伎町のイメージが強い菊地成孔ですが、20代後半から30代前半の第1期SPANK HAPPYやスタジオミュージシャンとして多岐にわたり活動していた90年~98年は高円寺に居を構えており、TBSラジオ「粋な夜電波」でも2015年に2週連続で高円寺ロケを行って、当時サックスを教えていたという、南口の音楽スタジオ“アフタービート”(その後2016年に閉店。だけど看板はまだある)に行ったり、高円寺の若者の胃袋を支え続けている富士川食堂の前を通ったりと、思い入れたっぷりに語っていたのが印象的。一方でなくなっている思い出の店も多く、個人経営の個性的な店が街の色を象徴し、チェーン店が上手くいかない街とも言われている高円寺ですが、新陳代謝の活発さを感じました。本曲は2枚組のライヴ盤『Alter War In Tokyo』からダンス・フロアで踊れるファンクという命題について最もルーツに真正面でかつキャッチーに、そして混沌と昇華された代表曲。

23.「それはスポット・ライトではない」浅川マキ
 浅川マキといえば新宿ピットインの方が印象強いですが、高円寺JIROKICHIの20周年(1994年)では渋谷毅と木村充揮のセッションライヴに飛び入りで入ってきたという伝説の夜があったそうで。元々はキャロル・キングの元夫ジェリー・ゴフィンとバリー・ゴールドバーグによる楽曲で、ロッド・スチュワードによるカバーで広く知れ渡るようになりました。原曲は別れた女性を想う詞でしたが、浅川マキはアンダーグラウンドのままここまできた私の輝いていた頃の光を歌う、挫折の歌として日本語訳しています。高円寺は誰しもいつまでも若者でいれてしまう、愛おしいけど危険な街です。しかし不器用だけども愛嬌の溢れた元若者たちの魅力にやられたのも自分がこの街にいる理由のような気がします。

24.「あの娘のスーツケース」The Birthday
 3枚目のアルバム『NIGHT ON FOOL』の冒頭を飾る楽曲。チバユウスケはライヴMCやインタビューなどではよく高円寺で飲んでいることを公言していますが、この曲では高円寺について以下のように綴っております。
“好きなように生きる そんなこと言う奴
どうやらだめみたい でも高円寺は好き
うずらのタマゴは いつも僕のために
とっておいてくれる そんなとこもあるんだ“

 役者やミュージシャン、作家など、アーティストが夢を追う者が集まる街としてのイメージも強い高円寺。自身の夢や論を語ったりする熱さには霹靂としながらも、この街は特別に愛している。それは色んな境遇の人が渦巻いているからこそパーソナルなところには踏み込まず、年齢、職業、社会的ステータス、全てが高円寺の街の前ではフラットになってしまうから、彼の様なロックスターも自由に遊べる街なのかもしれません。しかもうずらのタマゴを好んでおつまみにしている場所があるなんて、とびきりに粋でありキュートですね。

25.「革命前夜」Tempalay
 先日これまでサポートメンバーだったAAAMYYYの正式加入も発表され本格的に第2期突入の気概が感じられるTempalay。彼らの名声を決定づけた2枚目のアルバム『from JAPAN2』からの1曲。メロウで身体を揺らしながら聴くのはもちろん、この何かが起こりそうな予感がするサウンドが真夜中の高円寺にピッタリな気がします。高円寺Pal商店街から1つ駅側の通りに位置する古着屋「深緑」。ここが彼らの衣装、スタイリングを担当しています。他にもYogee New Waves、LUCKY TAPES、odol、eimie、綿めぐみら数々のアーティストの衣装協力も行っているということで多くの皆さんが知らず知らずにここの服を目にしているかもしれません。

26.「青い車」平賀さち枝
 東京のシンガー・ソング・ライター、Homecomingsとコラボした1作目『白い光の朝に』のカップリングに収録されている曲です。本当は2011年作の『さっちゃん』に収録されているささやかな日常の描写の中にさらっと“おじさんとデートして お金はもう、もらわない”とぶっこむ「高円寺にて」がばっちりなのですがSpotifyになかった…。彼女の歌は自身の中でまだ無自覚な悲喜交々を繊細に、救い上げるような “情緒”に溢れています。2010年ごろから高円寺から阿佐ヶ谷へと続く高架下にある無力無善寺に毎日のように通い、最初はアカペラでまるで日記の朗読のように歌っていた彼女。その内ギターを持って弾き語りスタイルが定着しました。彼女の歌にはかつて生活圏内であった中野・高円寺・阿佐ヶ谷の匂いが染みついています。

27.「日射病」ココナツ・バンク
 関西でごまのはえとして活動していた伊藤銀次らが、大瀧詠一を頼って上京。編成をかえココナツ・バンク名義で発表された楽曲。高円寺に1970年代前半に“ムーヴィン”というロック喫茶がありました。そこに当時大瀧詠一の元にいたココナツ・バンクが練習に煮詰まった気分転換に、伊藤銀次と同じくメンバーの駒沢裕城が“ムーヴィン”に行くと、店内で流れていたビーチ・ボーイズに「なんか違う」と感じた。かけているレコードを見に行くと日本人による自主制作盤で、それが山下達郎が高校時代の友人と作った『ADD SOME MUSIC TO YOUR DAY』に収録されたビーチ・ボーイズのカバーだったのです。たまげた伊藤銀次が大瀧詠一に報告し、2人は出会うことになり、その後のシュガーベイブのデビューやナイアガラ・トライアングルに繋がっていったという高円寺が誇る音楽伝説があります。
殺人的な暑さを誇る日々ですが、熱中症ではなく、日射病と言っていたことを思い出しながら、高円寺南3丁目にあったムーヴィンに思いを馳せながら。この曲聴いてうだる夏もいいですね。

28.「骨」銀杏BOYZ
 峯田和伸の歌の舞台は常に高円寺が起点にあります。GOING STEADY時代から「銀河鉄道の夜」「佳代」「アイデン&ティティ」、銀杏BOYZになってからは「童貞フォーク少年、高円寺にて爆死寸前」など多くの曲で登場し、吉田拓郎、大槻ケンヂの次の世代の高円寺を代表するロックスターとなりました。2017年のシングル「骨」はMVがオール高円寺ロケ。Pal商店街からルック商店街に向けて峯田と麻生久美子2人が深夜の街を練り歩く内容となっています。部屋着の2人が深夜の商店街を歩く。そこには2003年の映画『アイデン&ティティ』の主人公が、幸せに彼女と暮している後日譚のようにも思えます。アーケードがあり、幾分明るいPal商店街を抜けて、すでに寝静まっている住宅街に入っていくルック商店街を行く二人の帰路はリアルな高円寺在住民の帰宅コースであり、そんな生活の中のちょっとしたときめきを描く舞台として見事に高円寺は機能しています。

29.「浅草キッド」ビートたけし
 おなじみビートたけしの浅草修行時代を回想した歌であり、その“芸人の粋”を体現するかのような詞の世界は後進の多くのお笑い芸人の指針となっている。また昨年映画“花火”の主題歌として桐谷健太と菅田将暉によるカバーでも再び脚光を浴びた名曲ですね。以前から下積み時代の住家として高円寺在住の芸人も数多く、この曲の精神性と重なるものが高円寺の街にも感じられるのです。近年でいえば三四郎・小宮は度々高円寺愛をテレビ番組でも話題にしたり、三四郎の代表的な漫才ネタに「高円寺の阿波踊り」というものがあります。またメイプル超合金の安藤なつやにゃんこスターなども高円寺フリークを公言しています。一方で毎年2月には高円寺演芸まつりが開かれ、会期中の2週間街中が寄席会場になったり、落語や演芸をやっているスペース高円寺HACOがあったり、落語家が愛する街という一面もあります。そんな高円寺芸人の筆頭と言えるのがビートたけしの弟子、浅草キッド水道橋博士でしょう。今年はルック商店街の新高円寺駅近くに“たけしのみせ”を開店し、たけし軍団関連のグッズ販売や、博士のコレクション展示など一風変わったタレントショップとなっています。

30.「今度はいったい何回目の引越しになるだろう」吉田拓郎
 さて本プレイリストも大詰め。ここで再度吉田拓郎に登場していただきましょう。1992年『吉田町の唄』からの1曲です。「高円寺」が拓郎が住んでいたリアルタイムの歌であれば、こちらはこの時まで拓郎が住んだ街を回想する形。妙法寺、青梅街道、環七、堀ノ内と新高円寺駅から南に至る界隈のワードが続出します。散歩も高円寺駅から離れまして大詰めに差し掛かります。

31.「阿波踊り」中村みよき
 ラストはこれしかありませんね。毎年8月後半に行われます、東京高円寺阿波おどり。2日間で1万人が踊り、来場者数は100万人を超えると言われている1年で1番高円寺が盛り上がる日です。駅周辺の道路、全8会場が演舞場となり、日本有数の都市型フェスとなっています。週末土日、街の機能全体をストップさせ、阿波踊りに全面奉仕するという文化がしっかり根付いているのって岸和田と高円寺くらいじゃないかなと思うほどの大熱狂の二日間。また終わった後も街全体が“終わりたくない~”と言ってるようで。ビールケースひっくり返して机にして、みんな道で缶チューハイ飲んでいる感じもたまらなく好きなんですよね。

執筆:峯大貴(@mine_cism)

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