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Instagram、Facebook、X、Threads…各種SNSのフィードにおける「おすすめ表示のルール」は、2010年代後半に台頭したTikTokのレコメンドエンジンによって塗り替えられました。2010年代半ばごろまでは主にフォローしている人の投稿がフィードに流れてくる仕様が主流でしたが、TikTok台頭後はフォローしているかどうかにかかかわらずエンゲージメントの高い投稿がフィードに流れてくる仕様が主流になっていきました。こうした潮目の変化は音楽マーケティングにも大きな影響を与えました。
今回は、こうした環境の変化を受けてアーティストはどのようにファンベースを築いていけば良いかを解説します。
フォロワー数よりもエンゲージメント率の方が重要
Instagram責任者であるAdam Mosseri氏が2024年4月24日に投稿したリール動画で、Instagramのアルゴリズムに関する説明がありました。とても重要な内容なのでざっくり翻訳した内容を記載します。
フォロワー数よりもエンゲージメント率の方が重要です。 フォロワー数が重要でないわけではありません。 フォロワー数が多ければ多いほど、平均してより多くのリーチを獲得することができます。とはいえ、インスタグラムでどれだけうまくいっているかを示すより良いサインは、投稿ごとにどれだけの「いいね!」を獲得しているか、リールごとにどれだけのビューを獲得しているか、写真やリール、カルーセルごとにどれだけの再共有を獲得しているかです。
https://www.instagram.com/reel/C6JSc_FrIxf/
フォロワー数が減っていてもエンゲージメント率が上がっていれば、それは良いことです。一方、フォロワー数が増えていてもエンゲージメント率が下がっていれば、それは問題です。ですから、フォロワー数を気にするのはもちろんですが、エンゲージメント率にもっと目を向けてください。それが長期的に本当に役立ちます。
こうした傾向はInstagramに留まりません。細かい部分に違いはあれど、XやThreads、Facebookにおいてもフォロワー数と投稿のインプレッション数(表示回数)が2010年代と比べて比例しなくなってきています。代わりに重要視されるようになったのはエンゲージメント率、つまり、投稿のいいねや保存、共有、滞在時間の長さといったユーザーの反響がどれだけ高いかです。
フォロワーは積極的フォロワーと消極的フォロワーに分類できる
フォロワー数がエンゲージメントほど重要ではなくなってきているなか、アーティストはどのようにフォロワーを獲得し、ファンベースを築いていけば良いのでしょうか? この問題を考えるにあたり重要なポイントは2つあります。ひとつは「フォロワーとの繋がり方にこだわること」、もうひとつは「フォロワーが思わず反応したくなるようなコミュニーケーションを取ること」です。今回はこのうち前者に関して言及します。
「フォロワーとの繋がり方にこだわる」というのは「積極的フォロワー(Active Follower)」と繋がれるよう努めつつ、「消極的フォロワー(Passive Followers)」とはできるだけ繋がらないようにするということです。
フォロワーは「積極的フォロワー(Active Follower)」と「消極的フォロワー(Passive Followers)」に分類することができます。前者はファンになってくれる可能性の高い、熱量あるフォロワーを指します。後者はなんとなくフォローしただけで、対象アーティストに対する関心が薄いフォロワーを指します。
もう少し具体的に説明します。
「積極的フォロワー」は、そのアーティストの魅力によって生まれる自然な繋がりです。例えば口コミで知ったアーティストのMVを観て好きになってフォローした人とか、フェスで初めてライブを観て好きになってフォローした人とか、飲食店のBGMで流れていた曲が気になってShazamしてフォローした人とか、そういったイメージです。
対して「消極的フォロワー」は不自然な方法で増やしたフォロワーです。例えばプレゼントを用いたフォロー&リポストキャンペーンを繰り返し行うであるとか、クリックファームなどを通じてフォロワーを購入するであるとか、フォロー最適化広告を海外向けに大量配信するとか、そういった施策を通じてフォローした方です。
フォロワー数よりもエンゲージメント率の方が重要になった現代のSNSにおいて、自身の投稿をできるだけたくさんの人たちに届けるには投稿のエンゲージメント率をできるだけ高める必要があります。そのうえで重要なのは、最初から「エンゲージメントを高めてくれそうなリスナーと繋がること」です。「積極的フォロワー」と繋がり、「消極的フォロワー」と距離を置くことによってエンゲージメント率は高めやすくなります。もちろんフォロワーとのコミュニーケーションの取り方も重要ですが、そもそも好きになってくれる見込みの薄い方々にコミュニーケーションを取ってもなかなか繋がりは強くなりません。そのため、最初の繋がり方に気をつける必要があります。
なぜ消極的フォロワーが増えてしまうのか?
一方で、アーティストの音楽活動において無理やりフォロワーを増やしたくなる誘惑は想像以上に多いものです。見栄や営業に使えるトピックづくりを優先して、量的パフォーマンスを重視したデジタル広告やデジタルプロモーションキャンペーンが実施されるケースも少なくないのではないかと思います。
ことデジタル広告キャンペーンに限って言うと、質的パフォーマンスよりも量的パフォーマンスを優先した広告キャンペーンが実施されるケースもまだまだ多い認識です。「消極的フォロワー」の獲得がエンゲージメント低下の原因になってしまう現環境のなかで、果たしてそれは中長期的に見てアーティストのためになるでしょうか?
「質的パフォーマンスを優先した広告キャンペーン」とはつまり、ミュージックビデオの再生数やSNSのフォロワーといった量的な指標よりも、リスナーからの定性的な反響(YouTubeやXでのコメントなど)やエンゲージメント(広告経由での各種DSPでのライブラリ保存や高評価)を優先した広告キャンペーンのことです。量を担保することに比べて質を担保することは難易度が高いですが、中長期的に見てアーティストの健全な成長に繋がることは間違いありません。
最後に
以下のブログ記事にも記載しておりますが、当社は明確に「質的パフォーマンス」を担保することに特化したデジタル広告代理店です。
▼音楽アーティストのデジタル広告施策で追求すべきは「量」なのか、「質」なのか?
https://gerbera-music.agency/blog/quantity-or-quality/
中長期的に見た場合、音楽アーティストのデジタル広告キャンペーンは量よりも質に重きを置いて展開したほうが健全なファンベース構築に繋がると考えています。理由はこのブログで書いた通り、現在のSNSがフォロワー数よりも投稿のエンゲージメント率を重視しているからです。量的パフォーマンスに重きを置いたキャンペーンを繰り返してアカウントのエンゲージメント率を下げるより、質的パフォーマンスに重きを置いたキャンペーンを通じてエンゲージメントを高めていくほうが望ましいと考えています。
▼当社・Gerbera Music Agencyへのお問い合わせはこちらから
https://share.hsforms.com/1itJT0CxMSWyXnlWay50M5Qrokka
▼SNS広告に関する悩みやご質問はこちらからお受けしています。ブログのテーマにさせていただくかもしれません
https://peing.net/ja/736936917ecd12
※メインビジュアル:UnsplashのBrett Jordanが撮影
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