今回はサカナクションのYouTube参入時のエピソードについて書きます!

サカナクション

目次

『挫折』から事務所に所属するまで
まだ夜明け前のYoutube。挑戦するチームサカナクション
フェスとYouTubeの連動。アナログとデジタルの融合

『挫折』から事務所に所属するまで

まだサカナクションが全国的な有名ではない頃、彼らは主にYouTubeを利用して大きな知名度を獲得することに成功しました。

その時のエピソードが非常に興味深かったのでご紹介しようと思います。

先に背景を説明すると、サカナクションがメジャーデビューをしたのは今から7年前の2007年。当時は事務所に所属しないまま、メジャーレーベル(ビクター)と契約していました。

同年、ファーストアルバムの『GO TO THE FUTURE』が1800枚の売上を記録。この時ボーカルでありバンドのブレーンでもある山口一郎さんは『(1800枚しか売れなかったことに対して)挫折した』と語っています。

その挫折をきっかけに、当時の音楽シーンやリスナーのことを徹底的に研究し始め、後にヒップランドミュージックコーポレーションの野村さんとの出会いを経験。事務所に所属するようになりました。

ここからサカナクションの快進撃が始まります。

まだ夜明け前のYoutube。挑戦するチームサカナクション

ヒップランドとタッグを組んだサカナクションは、まず知名度を獲得するために『アナログとデジタルの融合』をテーマに、当時盛り上がりを見せていたソーシャルメディアを積極的に活用し始めます。

そしてその流れで、彼らの楽曲『ネイティブダンサー』のMVをYouTubeにアップするという、ある種賭けとも言えるような試みに挑戦しました。

この時の思惑について、ヒップランドの野村さんは次のようにインタビューで答えています。

当時はまだ、YouTubeに出すのはイリーガルなことっていうイメージがあって。だけど、テレビでわかりやすい音楽をキャッチしている人じゃなくて、音楽に興味を持っていれば持っている人ほど、探しにいくときに何を見るかっていうと、YouTubeだったっていう現象があって。

だからあえてYouTubeに公式で上げるっていうことをやりたいなと思って。それが「ネイティブダンサー」だったんですね。レコード会社は黙認。今だからいいますけど(笑)。うちから上げてるんですよ。実は。

そのときに、サカナクションのフライヤーにライブの告知を入れつつ、「ネイティブダンサー」のミュージックビデオをYouTubeで公開してますよって、URLを載せたんです。YouTubeのロゴまで載せて。で、これはオフィシャルだから、とやかくいわれないから面白いと思ったらブログにリンク貼って、どんどん紹介してほしいみたいなことを仕向けていったら、ものすごく広がっていったんですね。
引用:音楽主義 – NEXUS(フリーペーパー)

結果、爆発的に拡散。

その後、その成功体験を踏まえて制作したMV『アルクアラウンド』も凄まじい速度で広がっていきました。

アルクアラウンドは、始めからYouTubeにアップすることを前提に、ビデオの制作チームと連携しながらつくった芸術的なリリックビデオ。その映像の斬新さも相まって、こちらも爆発的に広まっていきました。

2014年現在、アルクアラウンドの再生回数は1200万超。チームサカナクションの思惑がドンピシャで当たった、素晴らしい成功事例だと思います。

フェスとの連動。ネットとリアルの融合

そして僕が最も驚いたのは、この試みがフェスとの連動を意識した施策であったところです。

こちらもヒップランドの野村さんの同インタビューを引用します。

当然自分たち自身のワンマンライブとかツアーを作り上げていくことも大事なんだけど、サカナクションを認識していない人たちにどう見せていくかっていう部分で、フェスに出ていくっていうのがもうひとつあって。

ただ、単純に出ることが目的じゃなくて、効果的な出方もあったりするんですよ。で、さっきのデフォルメの話じゃないですけど、今年の注目の新人のなかで一番本数を多く出そうと思ったときがあって。そうするとそれがトピックスになるんですね。それもすごく功を奏したというか。

―YouTubeでも、フェスでも広げていく。要は、全方位から攻めたわけですね。

で、フェスに行く人たちって、もちろん目当てのバンドはいるんだけど、じゃあ名前が連なってるバンドのどれを見ようかっていうときに、どうやって調べるかっていうと、やっぱりYouTubeでいっぺん見てみるんですよね。YouTubeで試聴する。

フェスもYouTubeにつながっている。

そう、つながってるんですよ。で、そのときにジャストタイミングで「ネイティブダンサー」のビデオが上がってて、あんなカッコいいビデオを作るアーティストだったら見てみたいって、人が集まってきたみたいな。それはもう、相乗効果ですよね。

まだYouTubeがネット上の宣伝手段としての地位を確立するずっと前から、『フェスで見るアーティストを決めるためにYouTubeを参照する』という行動が起きることを予想していたというから驚きです。

やはり、時代の潮目がどこに向かうのかを考え続けることが『群れの中から抜け出す』ために重要なのかもしれません。

最後に

果たしてYouTubeに続く新しい潮流がどこから生まれるのかは検討もつきません(もしかしたらそれはネットで起こるものではないかもしれません)が。。

アンテナを高く保ち続けること、そして得られた情報を基に仮説と検証を繰り返すこと。この2つは継続していきたいと思わせる事例でした。

そして個人的に最も気づきになったのが、彼らのコンセプトである『デジタルとアナログの融合』

野村さんのインタビューを読み込んでみると、

・YouTubeがフライヤーのあり方を変え、フライヤーが動画のシェアを加速させる
・YouTubeがフェスの動員傾向に影響を与え、フェス前後の検索行動が動画の再生回数を増やす

と、ネットとリアルが密接に関わっていることが分かります。つまりどちらかに偏ってはダメだということ。

これは今後、バンドやアーティストのプロモーションにエージェントとして関わるにあたって、強く意識していきたいと思わせられた事例でした。

長文となってしまいましたが、読んでいただきありがとうございました。