2015年のウェブコンテンツから印象に残った記事を2本だけピックアップする『ハイパーリンクチャレンジ』という企画。

予想だにしていませんでしたが、くいしんさん(@Quishin)からバトンが回ってきたのでブログを書きます。

※今回は音楽ネタと少し離れます。

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ハイパーリンクチャレンジとは?

【概要】
その年(前年12月〜本年11月)までに公開されたウェブコンテンツから印象に残った記事を2本だけピックアップする。1本は自らが執筆・制作に関わった記事、もう1本は他媒体で公開された記事とする。

参加者はそれぞれの記事を選んだ理由を、ブログやSNS等にまとめて発表する。選考した理由もあることが望ましい。また、次にチャレンジを受けてもらいたい人物、印象に残った記事を聞いてみたい人物も2人〜3人程度指名する。

次にチャレンジを受けてもらいたい人物、印象に残った記事を聞いてみたい人物も2人〜3人程度指名する。なお、指名がなくとも、開催趣旨への理解があれば自発的な参加も歓迎する。

引用:【ハイパーリンクチャレンジ2015】僕にとって今年1番おもしろかった記事。鳥井弘文 #HyperlinkChallenge2015 #孫まで届け

概要は上記の通りです。
今回、ギリギリになってしまったので指名はできませんが…

それでは本題に入ります。
今回はPRに関連する記事を1本(+次点2本)ピックアップさせていただきましたが、まず最初にPRの定義と機能について整理してみようと思います。

ちょっと記事の紹介までが長いですが、お付き合いいただければ。。

PRとは何か?

Effective Public Relations (EPR)第9版の邦訳『体系パブリック・リレーションズ』によると、PRの定義は以下のようになっています。

パブリック・リレーションズとは、組織体とその存続を左右するパブリックとの間に、相互に利益をもたらす関係性を構築し、維持するマネジメント機能である。

この定義におけるポイントは、

・PR活動の対象は『その存続を左右するパブリック』。つまりメディアに限定されるものではなく、社会や公衆、ステークホルダー(利害関係者)であるという点(「パブリック」の範囲は組織体によって異なる)。

・『関係性を構築し、維持する』と記載されてある通り、継続的な信頼関係を築くことを目指したものであるという点。

・『相互に利益をもたらす関係性』と記載されてある通り、(PR活動を通じて)組織体とパブリックの両方に利益がもたらされなければいけない、という点。

この辺りではないでしょうか。

あわせて、『パブリック・オピニオン・クォータリー』創設者のハーウッド・L・チャイルズが定義した「PR」についても記載してみます。

社会的意義のある個人や企業の行動の側面を、公共の利益と調和させること

この「公共の利益と調和させる」という表現が、個人的には腹落ちする感じがします。

第二次世界大戦後の数十年で、PRの定義も「双方向性のコミュニケーション」や「相互」、「双方」、「両者間」と言った概念が加わるようになったと言われていますが、この頃から、単なる「知らせるもの」としてのPRが「調和させる」という相手ありきの概念に進化したのではないかと思います。

※WebをウロウロしているとPR=パブリシティ、PR=メディアリレーションみたいな語られ方をされている場面に直面することが少なくない頻度であり、それには違和感を感じています。もっともっと広いんじゃないかなと。

これらを体現していると思う事例

そんなことを考えていた中で、下記の3つの事例は特筆すべきものだと思います。

1. サイボウズ広報が語る、会社の転換期とブランディング活動

2. いい競争で、いいサービスを。(ヤマト運輸)

3. 日清はなぜ10分どん兵衛を作らなかったのか

それぞれ思ったことを書いていきます。

サイボウズ広報が語る、会社の転換期とブランディング活動

まずサイボウズさんですが、これまでの活動の天井に気づき、PRベースのブランディングを主軸に据えた様子が伺えます。

当時、私もチームワークの活動と同時に広報をしていたのですが、広報活動というのは「点」だったんですよね。取材がきたら受け、ベースは製品のほうをしっかりプレスをするというスタンスでいて、ワークスタイル、人事制度、社会問題、技術力、エンジニアとか。こうしたことを点で受けていたんですけれども。

この辺りをしっかりと「線」でつなげていって、今の社会問題と人事制度とか、ワークスタイルを結びつけて、「サイボウズはこういうことやってますよ」ということをちゃんと伝えないといけないということに気づき始めた。

点として断続的に実施されていた広報活動を見直し、「チームワークをよくする」というキーコンセプトのもとに社内の価値観や文化を再構築し、情報発信の在り方を社会問題やワークスタイルにまで拡大させるようになった。そしてバラバラになっている文脈をストーリーで伝えるためには編集力が必要なことに気づき、社内で編集部をもち、そしてサイボウズ式の立ち上げに至る、という。

この流れは上記で記載しているようなパブリック・リレーションズの概念に即したものであり、本質的だと思います。

※余談ですがサイボウズ式の取り組みはコンテンツマーケティングというよりは(PRのいち取り組みである)ブランドジャーナリズムの文脈で捉えたほうが個人的にはしっくりきます。

また、パブリック・リレーションズにはインターナル・リレーションズという、経営者と従業員との間に相互に利益をもたらす関係性を構築して維持する機能が含まれますが、この取り組みを経たうえで情報発信しているいるところに凄さを感じます。
内に向けたPRを経てから外に向けているから、メッセージの太さが違うといいますか…。ステークホルダーや公衆と調和するって、自分たちを変革させていくことも当然含むよなぁ、と。

個人的には2015年で見た記事の中で最も気づきをもたらしてくれた記事です。

次点の2本

いい競争で、いいサービスを。(ヤマト運輸)

これは元々は新聞を利用した意見広告から始まった取り組みですが、「公共の利益」と「組織体」が対立する方針や考え方を明らかにしつつ、2,137件の意見に真摯に耳を傾け、また貫くところは貫く姿勢を示しています。
このプロセスは相互のコミュニケーションによって公衆と組織体(ヤマト)を調和させようとしている取り組みそのものだと思います。

また、PR活動の取り組みにも広告が含まれることを分かりやすく教えてもらえたような気がしています。広告はマーケティングだけの領域じゃないよなぁ、と。

日清はなぜ10分どん兵衛を作らなかったのか

これはPRとマーケティングの両方を兼ねた素晴らしい事例だと思います。

自分たちが想定していなかったどん兵衛の楽しみ方に素早く反応し、耳を傾け、本来の食べ方を示しつつ、マキタスポーツさんの10分どん兵衛にも理解を示している。「日清さん、怠慢ですよ!」という一言を自分たちのメディアに掲載している。

中立的かつ素直な姿勢が伝わってくる記事でした。

以上、3本を紹介させていただきました!
本当はもっと長く書くつもりだったんですが、退院明けということで今回はこれにて…

ハイパーリンクチャレンジ、どんな記事が選ばれるか楽しみにしています!

※引用箇所の太字は筆者によるものです。